元々はお酒は好きな方で食事に合わせてあれこれと楽しんでいたのだけど、今年に入って体調を崩したのをきっかけに飲まなくなった。それから暫くは殆ど外食をしていなかったが、気になっていた割烹に、先日ようやく足を運んだ。

開店時間の17時半にお店に入ると、大きな木製カウンターの一番奥の席に私と同じく女性の一人客がおられて少し安心した。 お店はたしか数年前からそこにあった。40代と思われるご夫婦ふたりで切り盛りされているようだ。

ドリンクメニューには厳選された日本酒とワイン、そして自家製のノンアルコールドリンクが3種、一保堂の玄米茶、炭酸水などがあった。まず文旦と酢橘のソーダ割りを注文し、食事はアラカルトメニューから、鯛の昆布〆、穴子の焼き霜、雲丹湯葉、若竹煮、太刀魚の炭火焼を選んだ。

それから少しして、何かのお祝いらしい親子3人組。そのあとしばらくして2人組の男女が入店し、計7人でカウンター席はいっぱいになった。

カウンターの中央で清潔な白衣の店主が次々に入る注文を黙々と段取りよく仕上げる様子を眺める。女将さんも同じく真っ白いシャツとエプロンで、ドリンクを用意し、料理をサービスする。お料理や食べ方の説明は最小限で丁寧ながら押し付けがましさはない。

お客の年齢層は幅広く、お酒を飲む人も飲まない人も入り混じり、それぞれが静かに季節の味を堪能する幸せな空気が、一体となってお店に満ちているように感じた。

最後に白ごはんと赤だしをいただいて、そろそろ締めようと思っていたら、奥の女性がデザートを注文する声が聞こえた。 私も真似して、大納言小豆と白玉、ミルクアイスの濃茶かけを注文した。 こちらも自家製。白玉は茹でたて、濃茶は練りたて。隅々まで丁寧で美しかった。

帰宅してからもしばらく、あの味やお店の様子を思い出しては幸せになる。 一人でもお酒も飲まなくても、ときどき外で美味しいものをいただくのは良いものだ。