ブランドという言葉には、どこか「変わらないもの」という印象がある。

もともとは所有を示すための「焼印」を意味していたこともあり、ブランディングをするというと、その会社や商品の「らしさ」を決めて、ずっと守っていくようなイメージを持たれるかもしれない。


でも私は、ブランドはもう少し曖昧なものだと思っている。

人でいえば、周りから見たときの「だいたいこんな感じの人」というくらいのものではないだろうか。

真面目な人、話しやすい人、新しいものが好きな人。

実際にはもっといろいろな面があるし、環境が変われば考え方も行動も変わる。
それでも長く付き合っていると、なんとなくその人らしさは見えてくる。


会社やお店も同じようなものだと思う。

これまで何をしてきたのか。

何を大切にしてきたのか。

何が得意なのか。

周りからはどう見えているのか。

そして、これから何をしたいのか。


いろいろと話を聞いて整理していくと、少しずつ輪郭が見えてくる。


私が考える構想整理型のブランドディレクションは、「自己認識を助ける編集」に近い仕事なのかもしれない。

何か新しいイメージをつくって外から被せるのではなく、すでにあるものを一度並べ直し、自分たちが今どこにいるのかを確認する。


現在地がわかると、次の選択もしやすくなる。

これは自分たちらしい。

これは少し違う。

今までとは違うけれど、こちらへ行ってみたい。

ブランドがあるからといって、同じことを続けなければならないわけではない。

むしろ、自分たちの輪郭がわかっているからこそ、安心して違うものを選ぶこともできる。


自己像を固定するためではなく、自由に選ぶためのブランディング。

そのくらいの柔らかさが、ちょうどいい気がする。